人材不足/育成/採用 あるじの伝書

【牛若丸と弁慶に習う】企業経営者のリーダーシップとビジネスパートナー

牛若丸と弁慶あるじの伝書

はじめに

中小企業の経営者ほどリーダーシップが必要な立場はありません。
ビジョンや理念を示し、従業員はもちろん、取引先にもリーダーシップを示していく。
これが、生き馬の目を抜く現代を生き抜く秘訣といえます。

このリーダーシップはカリスマ性のある経営者なら、存在=リーダーシップとなります。
しかし、それは中々難しいもの・・・現実はリーダーシップに思い悩む経営者が多いのが実情ではないでしょうか。
では、そのリーダーシップをどのように示していけばいいのか。そのヒントは、歴史にもあります。
このコラムでは牛若丸と弁慶の関係から、中小企業の経営者のリーダーシップとビジネスパートナーについて考えていきます。いかにしてビジョンを見せるかが「鍵」になります。

リーダーシップを発揮した平清盛率いる平家はなぜ滅んだのか

牛若丸と弁慶の関係についてお話する前に、平家が滅んだ理由について考えていきましょう。一時期は「平家にあらずんば人にあらず」とまでいわれたほど、隆盛を誇った平家。
政治経済を牛耳り、ついには朝廷にも影響力は及びました。

これが実現したのは、潤沢な資金があったからこそであり、カリスマ的リーダーであった平清盛が日宋貿易で莫大な富を得て、政治基盤を固めました。
ちなみに、日本における貨幣経済の礎を築いたのは、平清盛です。宋銭を流通させ、物々交換から今と変わらないお金と物やサービスの交換を始めました。

平清盛最大の誤算は、カリスマ性があり過ぎた点に尽きます。
将来の展望であるビジョンを見せずとも、人がついてきました。
周囲にはイエスマンばかりが集まり、自分の頭で考えることをしない人材が育ってしまいます。そして、平清盛が築いた莫大な財産を食い尽くしてしまった・・・
イエスマンは現状維持だけが目的になってしまいます。

後述しますが、こうなるとビジネスパートナーとなるはずの人物も近寄ってこられないのです。平家が滅亡するのは、必然といえるでしょう。

あなたも身近でご存知ではないでしょうか。
カリスマ経営者のいる中小企業が、その経営者退陣した途端に経営が傾いてしまう。
長期的な観点だと、カリスマ性は経営を安定させることが困難になるケースが多々あります。

源頼朝の持つリーダーシップ

元暦2年の壇ノ浦の戦いで敗れた平家に替わり政権を取ったのは、源頼朝が率いる源家でした。ただ、頼朝にリーダーシップがあったかというと、現代でも疑問が残る部分です。
彼はただ「長男」という理由だけで、総領になっているからです。

真の意味でのリーダーシップを発揮し、ビジネスパートナーも得ていたのは弟の源義経です。
義経には武蔵坊弁慶という片腕が若いころから側におり、義経を盛り立てます。これこそが、頼朝との最大の違いです。自分以外の優秀な人材を受け入れることができました。

頼朝も強い武将だったでしょう。
しかし、彼が最終的に行ったのは自分の敵の排除です。
朝日将軍と呼ばれた木曾義仲にしろ、平家にしろ、奥州藤原氏も頼朝は討っています。
ついには、弟である義経も排除してしまいました。

強いカリスマ性を見せつけるには効果的ではありますが、やはり長期的な観点では悪手となります。
現に頼朝死後、北条氏が政権を握ってしまったのはご周知のことでしょう。

義経最大の失敗は、兄がこのような人物だと見抜けなかった点です。
さらに、源家の復興という目標は同じであったとしても、細かい将来のビジョンが違っているとも気付けなかった点。
血のつながりというものに甘え、人物観察を怠ったともいえます。

こちらも、現代でよくあることです。特に中小企業の親族内継承や跡目、相続争いで、時折目にする光景です。

源頼朝の銅像

頼朝が恐れた義経のリーダーシップとビジネスパートナーの弁慶とは

源義経と武蔵坊弁慶の出会いは、嘉応2年から承安4年の間だといわれています。
義経が鞍馬寺に預けられていた11歳から元服をするまでの間のことです。。

出会いの場所はご存知、五条大橋です。
弁慶は武将と決闘をして、勝った相手から刀剣を奪っていました。
あと1本で1000本という時に出会ったのが、源義経こと牛若丸です。
この闘いに牛若丸は勝ち、その後弁慶は源家の復興というビジョンを掲げた牛若丸の片腕として力を発揮した。

実はこの逸話、実際にあったかは分かりません。
平安末期に五条大橋は存在せず、堀川にかかる小さな五条橋があったのみだったそう。

ですが、この逸話が長年日本で愛されていることに意味があります。
少年漫画でもよくある展開ではありますが、闘った相手を仲間にするパターンを日本人は好むのです。
これは相手の能力を認めるという意味があるからです。

人間誰しも、自分を認めてもらいたいという欲求があります。
心理学では「承認欲求」と呼び、この承認欲求を代理的に満たしてくれるのが、牛若丸と弁慶の出会いなのです。

そして、これこそがリーダーシップとビジネスパートナーを得るために必要なことなのです。平清盛にしろ源義経にしろ、誰かに打ち勝つことがリーダーシップだと思い失敗しています。ですが、真の意味でのリーダーシップを発揮するには、相手を敬い、受け入れることが必要不可欠です。

なによりリーダーシップを強化するビジネスパートナーを得るためには、なくてはならないことと言えます。

源義経の銅像

相手を受け入れた上でビジョンを見せた義経

源家の総領である頼朝と細かいビジョンの共有ができていなかった義経ですが、弁慶とビジョンの共有はできていました。
五条大橋でのエピソードは伝説である可能性が高いものの、同様のことはあったはずです。
相手の能力を受け入れた上で、自分のビジョンを語る。

これはとても理にかなったビジョンの示し方であり、ビジネスパートナーを得るために必要なことです。
人間は承認欲求を満たしてくれた相手に対して、愛着を抱くもの。
義経と弁慶の関係も同じくです。これがないままビジョンを語ったとしても、相手は受け入れてくれません。「なんだ、好き勝手言いやがって」と思われるのが関の山。特に弁慶のような荒くれ者は、自分よりデキる人間を嫌うものです。

弁慶も能力の高い人物です。
ただ、この能力の使い道が決闘以外なかったのが現状でした。フラストレーションがたまる中、若き日の義経が見せたビジョンは血沸き肉躍るものがあったことは想像に難くありません。

ビジョンを語るだけでなく、源家の復興のために義経がしていることも見せています。
それは身体能力の高さです。鵯越や八艘飛びといった逸話にあるよう、義経はとても身体能力の高い人物。
それを随時見せることにより、お家復興というビジョンを叶えるための具体的な行動を見せています。それだけ鍛錬を積んできたと。

これがなければ、ただの口先だけのほら吹きになってしまいます。

義経と弁慶から経営者が学ぶべき点

源義経が武蔵坊弁慶というパートナーを得られたのは、結果的に幸か不幸か分かりません。
歴史的に見ると、兄に討たれている時点で不幸に思えます。
しかし、経営者視点から考えると、これほどまでに中小企業の経営者のお手本になる人物はいません。

義経のビジョンに賛同した弁慶は、彼を盛り立てていくために力を発揮します。
それは様々な逸話からも伺うことができます。これがなければ、義経は歴史の表舞台に出てこなかった可能性もあります。

相手の能力を認め、ビジョンの実現に向けてその能力を発揮できる環境を作り上げる、
そして自身も先頭に立ってビジョンの実現に汗をかく。

これこそが長く愛される「牛若丸と弁慶」のコンビができあがった理由です。

あなたがもしビジネスパートナーを得たいと考えているなら、義経をお手本にしてみてはいかがでしょうか。
相手を認めていてはリーダーシップを発揮できないという思い込みは、清盛や頼朝と同じ結果を招きかねません。

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